福徳寺本堂/国重要文化財(上蔵)
 福徳寺の建立年代は、仏像台座の墨書に平治2年(1160)とあり、平安末期の創建を伝えていますが、昭和28年の調査を兼ねた解体修理によって、鎌倉期以前まではさかのぼらないことが判りました。堂内に安置されている仏像は、中央に阿弥陀如来と薬師如来が並存し、毘沙門天・聖観世音菩薩の2体が脇に配されています。この4体は村指定文化財。「医王山福徳寺」の呼び名は天台宗のものであり、本尊は薬師如来と考えられます。堂建立の施主や中心人物は不明ですが、その呼び名から天台座主だった宗良親王(むねながしんのう)か、親王に長く仕えた大河原城址の主・香坂高宗氏とも考えられています。 堂は桁行3間、梁間3間、1重、こけら葺きで、組物は隅柱のみ舟肘木を設け、軒一重疎垂木舞打ちの簡素な建物であり、小規模ながら洗練された姿からは中央の寺院建築文化の風格が漂います。明治45年に特別保護建築物の指定を受け、長野県最古の木造建築物として昭和25年重要文化財の指定を受けています。

福徳寺の四季


民宿「美野鹿」さんから眺める
福徳寺と南アルプス。この写真
は美野鹿さんからお借りしました

松下家住宅・土蔵/国重要文化財(上青木)
 松下家の祖先は、戦国時代までさかのぼります。江戸時代に入ってからは代々名主組頭の村役を勤めました。現在の松下家の普請は、文政3年3月(1820)六郎左衛門によって建築されたことが、上座敷の書院障子の戸ぶちに残る墨書きによって確認できます。主屋は西に面し桁行14.6m、梁間15.8m切妻造妻入の構造となっている。内部は、北側に土間を取り桁行3列に12部屋をならべ、特長として全体に壁が少なく、裏側にも床つきの座敷があり、生活の中心となっている居間が建物の裏側にとられているなど、本棟造の中ではかなり進歩したものとなっています。
 周囲の山から切り出したといわれる赤松などの構造材は非常に大きく14.6m八間通しの大梁は手斧削りの痕がくっきりと残っています。また、馬屋を含む北側は軸の部分が別構造になっており、こうした構造は長野県の南西部に多く見られる。
 主屋の北側にある土蔵は明和9年(1772)の建設で、主屋より50年ほど古く、豪農の屋敷構と伝えられている。

宗良親王(むねながしんのう)
 南北朝時代に活躍した後醍醐天皇と、藤原為子の八番目の皇子として生まれました。二十歳の時に比叡山延暦寺の天台座主となり、大鹿村には興国四年(1343)の34歳の時に、香坂高宗氏に迎えられて大河原城に入り、以来30余年の間ここを拠点として活動されました。正平七年(1352)親王42歳の時、足利尊氏討伐の宣令が下され、征夷大将軍に任じられ、武蔵野の合戦等に出陣されました。親王は南北朝第一の歌人と称され、歌集に「李花集」「宗良親王千首」、選集には「新葉和歌集」があります。親王終焉は静岡県伊井谷などの各地の説がありますが、大河原終焉を裏付ける古文書が京都後醍の三宝院に保管されており、現在では最も信頼性の高い資料とされています。

香坂高宗墓跡/村指定文化財(上蔵)
 室町末期。香坂高宗(こうさかたかむね)は南北朝時代に大河原城主として征夷大将軍信濃宮宗良親王に忠節をつくした人物で、応永14年(1407)大河原城にて亡くなりました。高宗の家系は定かではないが宗良親王に仕え一族を率いて忠節をつくしたことは明らかで、この忠節に対して大正14年大正天皇即位大典の日、高宗に特旨をもって従四位が贈られています。

大河原城跡(上蔵)
 南北朝時代、宗良親王を生涯に渡って守護した香坂高宗の居城です。この城の大きな特徴は、険しい自然の地形を十分に生かした天然の要害であったことにつきます。南は眼下に小渋川の急流を望む断崖があり、東には、大田村沢の渓谷、北・西側は、空堀をもって防備としました。興国4年(1343)の冬、ここに親王を迎え入れた高宗でしたが、なお不安に思い、さらに釜沢の奥地、内ノ倉(現在の御所平)へ安住の地を定めました。

御所平(釜沢)
 宗良親王が仮御所に住まわれた地。いくつかの平坦な屋敷跡がありましたが、今は残っていません。
「何方も山のはちかき柴の戸は、月見る空やすくなかるらむ」と親王自らが詠んだ歌を刻んだ石碑が建っています。

宝篋印塔/村指定文化財(釜沢)
 石質は通称「伊豆岩(いずいし)」と呼ばれる石で、伊豆は鎌倉を意味するがその繋がりは不明。室町時代初期の建立。伝承によると地元では宗良親王の墓として祭っていました。四面に梵字が刻まれ、上部には馬の耳に似せた突起物があります。宗良親王が大河原でお亡くなりになった説を裏付ける貴重な史跡です。


歌舞伎と宗良親王の舞台を歩く・・上蔵(わぞ)ウオーキングコース
山奥に湧く不思議な塩泉を訪ねる・・塩の里ウオーキングコース
村内2つのウォーキングコースを紹介しています


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